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プルトニウムを埋葬する時が来た update1

プルトニウムを埋葬する時だ。Time to bury plutonium

プルトニウムの再利用は危険でコストがかかる。最初に英が直接廃棄を行うだろう。
Frank von Hippel, Rodney Ewing, Richard Garwin and Allison Macfarlane.

今日世界は500トンの分離されたプルトニウムを備蓄している。これは10万個の核兵器を製造することが 可能な量だ(1)。1994年の米国科学アカデミーの報告(2)で、この物質は「現在でも国家、国家間の安全の 明確な脅威だ」。廃棄プログラムの開始から約20年が経過したが、今だ混乱している。

このプルトニウムは冷戦と1960年代の革新的なプルトニウム増殖炉を使った核エネルギーへの熱狂の遺産である。 いくつかの国々はこの増殖炉で使うと言って、ウラン燃料の使用済み核燃料からプルトニウムを分離している。 しかし革新は実現しなかった。ロシア(民間でも軍事用でもプルトニウム貯蔵量が世界でいちばん多い)と インドだけが将来商用増殖炉を実用化しようと研究している。

英はプルトニウムを世界最大の民間で分離貯蔵してる国で、その量は約90トンになる。 2010年12月に新型の水冷式原子炉の燃料として使おうと試みた。 この提案は米の方針と一致した。分離されたプルトニウムを既存の原子炉に別の燃料として使うのだ。 仏、日本、他の国には顕著な蓄積がある。一石二鳥を狙った方法は危険で高コストな方法だ。 使用済み核燃料からプルトニウムを分離することを継続することは国際的なセキュリティリスクを長引かせている。

英、米と日本の過去の経験から英の方法は、技術的、政治的そして上昇するコストの問題になった。 英は大きな投資を行う前に、より安くより安全なプルトニウムの直接廃棄方法を真剣に検討し始めた。 プルトニウムの備蓄を減らす最良な方法として、世界に先駆けて行おうとしている。

別の方法

1994年の米国科学アカデミーの報告(2)はプルトニウム廃棄の2つの方法に着目した。 1つめはプルトニウムを劣化ウランと混ぜてMOX燃料をつくる方法。これは今の世代の原子炉で使うことができる。 一度使用されると、他の使用済み燃料と同様に廃棄する必要がある。 2つめは直接廃棄する方法。プルトニウムを陶器で固体化して、特定の使用済み燃料と核廃棄物の廃棄場に埋めてしまう方法。 どちらの方法も同じ廃棄場スペースが必要になる。

1994年仏は既に大きな物議をかもす方法になる、使用済みウラン燃料からプルトニウムを分離再利用する方法を選択していた。 当初は兵器のプルトニウムと、そして増殖炉の試作プルトニウムと区別していた。 世界的な専門家になると、仏は国営の核サービス会社を設立、今日アレバと呼ばれている。 他国の使用済み核燃料からプルトニウムを分離する再処理プラントを建設した。 しかし、アレバの主な外国の顧客は契約を更新しなかった。 国内のMOX計画を支えるために電気設備は手に負えなくなり電気料金を高くしてしまった。 2000年の統計で純粋なウラン燃料を使って廃棄するコストと比べて 使用済み燃料からプルトニウムを再利用すると年間7億5000万米ドル(約600億円/年)の追加コストが発電にかかることがわかっている。

日本も使用済み燃料を再処理してMOX燃料を使う似たような方法を行っている。 長いあいだ、どこに核廃棄場を作るかという難しい政治的な決断を延期している。 国内で使うMOX燃料のために高コストな再処理プラントの建設が必要で、設計のほとんどをアレバがやっている。 コストの増大と延期で完成が10年遅れている。 2006年8月プラントが4トンのプルトニウムの分離に成功したが、警報で強制停止した。 2011年1月再開しようとしたが再び警報が鳴った。 MOX燃料プラント建設が2011年秋に再開したが3月の福島の事故により日本全体の核プログラムは再計画中だ。

英の原子力廃止措置機関は使用済み核燃料からプルトニウムを分離する契約を終了しようとしている。2018年までに2つの再処理施設は契約を終了するように言われている。 彼らは分離したプルトニウムを100トン以上残す。 2011年12月英エネルギー・気候変動省はプルトニウムを廃棄する最良の方法だと言われていた MOX燃料製造プラントの購入を中止した。

歴史から学ぶ

英国におけるMOX生産の試みは惨めな結果に終わった。 2001年カンブリアのセラフィールド再処理施設の製造プラントは 当初日本向けにプルトニウム分離を行なう予定だった。 しかし、設計の流れでMOX燃料を製造基準に正確に従って生産することは困難だった。 プラントは最初の10年で生産能力の1%しか稼働できなかった 2011年8月に14億ポンド(23億米ドル)の支出の後に閉鎖される。

プルトニウム廃棄の方法を評価するため、英もまた米で実験することを決断する。MOXと固体化の両方を研究した。 1999年の概算で85トンに累積した兵器級プルトニウムの34トンの廃棄に40億ドルを費やした。 しかし所有している34トンのプルトニウム兵器の廃棄を約束したロシアが固体化に反対した。 固体化から戻せば再び兵器を作ることができるからだ。 2つの方法を検討し、米は固体化する方法を諦める方向に進んだ。 そしてアレバ設計のMOXプラントに仕事がきた。 34トンのプルトニウムの廃棄費用は130億ドルまで上昇した、 しかし製造された燃料は10億ドルから20億ドルの価値しかなく、それで相殺するしかなかった。(5)

それゆえに英はプルトニウム固体化の別の方法を見つけなければならない。 どうするのか文献は存在するが、全体の技術は実証されてない。(6)(7) 固体化はMOX製造より簡単で安いはず。100トンのプルトニウムをMOX燃料にすると1億個のペレットになる。 機械で正確に寸法して長いジルコニウム管フィットするように作らなければならない。 廃棄ならプルトニウムが少々粗いサイズでもまとめてパックすることができる。

固体化したプルトニウムは使用済み燃料や凝固させた処理廃棄物と混ぜる事ができる。 ガンマ線を発することで500メートル地下の廃棄場に捨てる前に 盗人やテロリストに盗まれてしまうことを防止するのだ。 もう1つの方法は取り出せないほど深く5000メートル以上掘削した穴に廃棄すること。 1994年の米国科学アカデミーの報告ではこの方法を検討している。設計作業の資料がある。(8)(9) 英の原子力廃止措置機関は2009年にこの研究を発見しだ。固体化方式はMOXより安いがまだ技術が発達していない。 (go.nature.com/rbxmsl参照) でも英のMOXプラントや他の方法の失敗から、固体化は低リスクな方法だ。

これらの努力により英国はこの技術の急先鋒になるだろう。 世界に大量に蓄積された民間の分離プルトニウムとMOXプラントの失敗を見て。 研究所のテスト、実験プロジェクト、大規模プラントを通じてプルトニウム固体化方法の開発の最先端になるはずだ。 プルトニウムを危険な兵器物質として明確に扱うのなら、別の方向に進む時が来たのだ。

Frank von Hippel is professor of public and international affairs at Princeton University, New Jersey, USA, and co-chair of the International Panel on Fissile Materials.
Rodney Ewing is professor of earth and environmental sciences at the University of Michigan,
Ann Arbor, USA. Richard Garwin is a physicist and IBM Fellow emeritus at the Thomas J. Watson Research Center, New York, USA.
Allison Macfarlane is associate professor of environmental science and policy at George Mason University, Fairfax, Virginia, USA. e-mail: fvhippel@princeton.edu

(1). International Panel on Fissile Materials. Global Fissile Material Report 2011 (IPFM, 2011); available at http://go.nature.com/fi58zk
(2). Committee on International Security and Arms Control. Management and Disposition of Excess Weapons Plutonium (National Academies Press, 1994).
(3). Wigeland, R. A. et al. Paper 496 in Proc. GLOBAL ’05, Tsukuba, Japan, October 2005.
(4). Charpin, J. M., Dessus, B. & Pellat, R. Economic Forecast Study of the Nuclear Power Option (Commissariat General du Plan, France, 2000).
(5). US Department of Energy FY 2013 Congressional Budget Request Vol. 1, 460.461 (2012); available at http://go.nature.com/4posor
(6). Yudintsev, S. V. et al. in Structural Chemistry of Inorganic Actinide Compounds (eds Krivovichev, S. V. et al.) 457.490 (Elsevier, 2007).
(7). Ewing, R. C. & Weber, W. J. in The Chemistry of the Actinides and Transactinide Elements Vol. 6 (eds Morss, L. R. et al.) 3813.3887 (Springer, 2011).
(8). Halsey, W. G., Jardine, L. J. & Walter, C. E. Disposition of Plutonium in Deep Boreholes (Lawrence Livermore National Laboratory, 1995).
(9). Gibb, F. G. F., Taylor, K. J. & Burakov, B. E. J. Nucl. Mat. 374, 364.369 (2008).

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